大東流合気柔術は、徒手で敵を無力化して、投げ、倒し、押さえる古流の体術である。
更に殿中を血で汚すことなく、敵を制御する武術として研究大成されており、座技の多いのも特徴のひとつである。また、「合気の術」をはじめて知らしめたのも大東流である。
技法
技は武家時代のあらゆる攻守を想定して組み立てられており、彼我の態勢からみれば、座り技、立ち技、半座半立、後技などに区分され、その技法も投げ技・倒し技・固め技・武器捕り・多人数捕りのように、さまざまな技法が残されており、技の総数は2,884 手にのぼるといわれている。
また、これらの技は、体格・年齢・性別に関係なく、又非力な者でも使うことができるように工夫されており、心気呼吸をはかって制する合気技と、関節の順逆を利用して投げ固める関節技、生理的弱点を攻める急所技などがあり、その全体に通ずる極意として合気がある。
体捌きは、剣技を基本とする端麗なものであり、まさに小具足の名残りを止めた素肌武芸の精華である。
稽古
稽古は型稽古が中心で、近代化されたスポーツのような競技形態はとらない。 これも古武道としての特徴である。 型の稽古によって、技や筋を練り、合気柔術の体づくりから始める。型といえども常に真剣をもって敵に相対する気持ちで少しの油断もなく、一呼吸といえどもおろそかにせず、基本に従い、理に即して、伸び伸びと大きな動作をを心がける。
習熟するに従って無駄な動きがなくなり、型の域を超えて、自由自在な応用変化が可能となるのである。
修行
大東流合気柔術を稽古する者は、精神の修養と身体の鍛錬が第一の目的であるが、あくまでも精神を根本とする心の技を追求するものである。いかに技法が巧妙をきわめても、精神的運用が伴わなければ武道の奥義に達することはできない。先達の残された型・技を正しく理解伝承し心身を強健にして、各人が社会人として信頼され、社会に貢献することのできる立派な人間に成長することが修行である。